建築現場でコンクリートが必要となる場合、スランプ値が関係していきます。
スランプ値とは、スランプ試験とよばれる実験で求められるフレッシュコンクリートの流動性を示す数値です。流動性が高いほど、スランプ値は高くなります。
本記事では、コンクリートのスランプ値の概要や与える影響について詳しく解説します。
強固なコンクリート工事を実現するために、弊社ではスランプ値にこだわったご提案をしています。
コンクリートのスランプとは
コンクリートのスランプ値とは、コンクリートの流動性や柔らかさを示す指標であり、施工現場における品質管理の重要な要素です。
スランプ値は、フレッシュコンクリートの流動性を測定するための試験で得られる数値で、主に建設現場での打設作業のしやすさを左右します。
この値が高いほどコンクリートは流動性が高く、低いほど硬めで流動性が低いことを示します。
スランプ値の設定は、施工の目的や使用する場所によって異なり、コンクリートのスランプ値は施工性や品質に大きく関わってくるものです。
コンクリートのスランプが与える影響とは
コンクリートのスランプが与える影響は、高い時と低い時で異なります。
本項では、下記2つについて詳しく解説します。
・スランプの値が高い時
・スランプの値が低い時
スランプの値が高い時
コンクリートのスランプ値が高い場合、施工性が向上し、作業者にとって打設や仕上げ作業が容易になるというメリットが得られます。
特に狭い場所や複雑な型枠を使用する現場では、コンクリートがスムーズに流れ込むため、型枠内に均一に充填されやすくなり、施工効率が向上します。
また、コンクリートの表面仕上げも比較的滑らかになりやすく、美観を求められる部分にも有効です。
流動性が高いことで、振動締固め作業の負担が軽減されるでしょう。
スランプの値が低い時
コンクリートのスランプ値が低い場合、一般的に流動性が低く、コンクリートが固く感じられるため、打設や型枠への充填が難しくなるという特徴があります。
低いスランプ値のコンクリートは、施工時に人手による振動締固めが必要となり、特に狭い箇所や複雑な形状の型枠での施工には手間がかかルでしょう。
しかし、スランプ値が低いコンクリートには、強度面でのメリットがあります。
流動性が低いことで、水分量が少なく、コンクリートの密実性が高まるため、圧縮強度や耐久性が向上することが一般的です。
特に耐荷重性能が求められる構造物では、低いスランプ値のコンクリートが使用されることが多く、完成後の収縮やクラックの発生リスクも抑えられることから、長期的な安定性が期待されます。
高度経済成長期は高いスランプ値が当然だった
高度経済成長期は品質よりもスピードが求められたため、スランプ値18以上の水気が多いコンクリート工事で作業効率をあげざるを得ないという背景がありました。
高いスランプ値のコンクリートは圧倒的に均しやすいのが特徴です。職人にかかる負担が少なくなりますので投入する人員数を削減することができます。少ない人数で数多くの工事をまわすことができるため、高いスランプ値のコンクリート工事は業者にとって利益率の良いものになるわけです。
しかし、スランプ値を高くすることでお客様にとって良いことはひとつもありません。
まず、水気が多くなることによって、均した後のブリーディング現象が急激に発生します。フレッシュコンクリートの深層部から表面へと浮き出る際に水が通過した経路は、水ミチと呼ばれる空隙になって硬化後にも残ることになります。
この水ミチから侵入した空気が鉄筋に触れると、鉄筋が酸化して錆びる原因となります。
そのまま放置している建物の躯体がボロボロになってしまうのです。
ブリーディング現象が激しいことによる弊害は他にもあります。水が浮上する際に、細骨材の砂が表面の硬化組織に集中してしまいます。すると、表面が脆くなり、施工直後にも関わらず微細なひび割れが表面全体に発生してしまうのです。
スランプ値18以上のコンクリートは今でこそ殆ど見られなくなりましたが、高度経済成長期において大量に建設された建物では、当然のように高いスランプ値でのコンクリート工事が行われていたようです。
今でも、できるだけ高いスランプ値でのコンクリート工事を希望する傾向はあまり変わっていません。
LCS工法 ロジスティックス コンクリート フィニッシングシステム
スランプ値15以下を提案しています
一方フロアエージェントでは、むしろコンクリート会社である弊社の側から、スランプ値を引き下げるご提案をしています。原則として、フロアエージェントのコンクリート工事はスランプ値15以下でご提案するようにしています。
私たちは、見せかけではなく本当の意味でお客様のためになるご提案をしたいと思っています。本当の意味でお客様のためになるコンクリート工事とは、施工直後と変わらない性能をひび割れることなく発揮し続けられるコンクリートを形成することだと考えています
だからこそ私たちは、時として手作業では施工できないほど低いスランプ値のご提案をすることもあります。このような工事を実現するために、フロアエージェントはコンクリート工事の機械化を進めてきました。ミニスクリードや騎乗式トロウェルがその代表です。
コンクリートの強度の向上について、フロアエージェントは日々研鑽を積んでいます。
さらに強固なコンクリート工事なら「再振動締固め」
低いスランプ値でのコンクリート工事に加えて、さらに強固なコンクリート工事を求めるお客様には再振動締固め工法をご提案しています。これは均し作業後に再び振動による締固め作業を行い、フレッシュコンクリート内部の水ミチを除去する工法です。これによって、ひび割れの発生頻度が減少する効果が実証されています。
作業を追加することになるので予算の問題もあると思います。しかし、目に見えるひび割れが発生すると、余分なメンテナンスコストが発生します。メンテナンス実施時に工場や倉庫などの生産性が低下すれば機会損失にもつながります。長い目でみれば、再振動締固めを行ったほうがコストダウンにつながる可能性があるのです。
ひび割れを防ぐ方法として、フロアエージェントではコンクリート研磨工法や真空コンクリート工法などのご提案もさせていただいております。
ひび割れしないコンクリートをお望みの場合は是非弊社にお問い合わせください。