解体工事や舗装のやり直しなどで必要となる「はつり工事」では、コンクリートを切ったり、表面を削ったりなどが行われます。
特にコンクリートはつり工事は、建物を解体する際に必要となりますが、どんなことに気をつけて行えばいいか知りたい方もいるでしょう。
そこで本記事では、コンクリートはつり工事の特徴を踏まえ、工事の方法や亀裂を防ぐための注意点などを解説します。
コンクリートはつり工事とは
コンクリートはつり工事とは、既存のコンクリート構造物を部分的または全面的に撤去するための工事です。
この工事は、建物の改修やリノベーション、新たな構造物の設置の準備など、さまざまな目的で行われます。
特に劣化したコンクリートの除去、新しい開口部の作成、あるいは構造的な変更が必要な場合に用いられます。
コンクリートはつり工事を行う方法
コンクリートはつり工事を行う方法は、主に以下の通りです。
- 人力で対応する
- 重機を活用する
詳しく解説します。
人力で対応する
狭い場所や機械の使用が制限される環境、または精密な作業が必要な場合において、人力による工事が効果的です。
手作業では、細かな調整が容易であり、必要に応じて作業スピードや力加減を調整できるため、周囲の構造物を傷つけずに正確な作業が求められる場面で役に立ちます。
ハンマードリルやハンドブレーカーといった工具を用いることで、コンクリートの特定の部分を正確に取り除くことが可能です。
また、コンクリートを破壊する際は、ハンドクラッシャーという重機よりも音が小さく、小回りがきく道具で作業することもできます。
重機を活用する
コンクリートはつり工事においては、重機を活用する方法も一般的であり、特に大規模な撤去作業や短期間での工事完了が求められる場合に効果的です。
重機を使用することで、手作業に比べて圧倒的に効率的にコンクリートの破砕・撤去が可能となります。
重機を用いたコンクリートはつり工事では、一般的に油圧ブレーカーやバックホーが使用されます。
油圧ブレーカーは強力な打撃力を持ち、厚く硬いコンクリートを効率よく破砕するのに適しています。
バックホーは、取り外したコンクリートを速やかに移動・運搬するのに利用されることが多く、特に広範囲の工事においてはその作業効率の高さが大きな利点となります。
コンクリートの亀裂に要注意!ハツリの衝撃が原因のひとつ
レベルダウンのハツリで最も気を付けるべきポイントが、躯体コンクリートに亀裂を生じさせないことです。コンクリートは頑丈な素材と思われがちですが、実はハツリのような点の衝撃に弱いという特徴があります。そのため、ガンガンと点で衝撃を加えるハツリが、コンクリートに亀裂を生じさせることがあるというワケです。コンクリートの亀裂は建物の耐用年数を著しく損なうトラブルの原因となります。
ハツリによって発生した表層の亀裂から侵入した二酸化炭素がコンクリートに含まれる水酸化カルシウムと結合し、本来は強アルカリ性のコンクリートが中性に変わる現象が起きるとされています。(これを中性化といいます。)コンクリートが中性に変わると、中にある鉄筋が酸化によるサビを引き起こし膨張するため爆裂を引き起こします。このようなメカニズムで、躯体への亀裂が建物の寿命を縮めてしまうのです。
また、ハツリによって生じた亀裂が、工事最中のトラブルの原因になるケースもあります。レベラー材という液体を流し込むだけで床面を平滑にできるセルフレベリング工事を行なった際に、レベラー材がコンクリートの亀裂に入り込み、階下に滴り落ちてしまったという事例もあります。
コンクリートの亀裂は、表層だけの軽いダメージに見えても、実は深層に到達していることもあり、見た目以上に深刻なことがあります。しかも、一度生じると、根本的に修理することが非常に難しくなります。そのため、大小に限らず亀裂は生じさせないことが一番なのです。
▲コンクリートの亀裂は見た目以上のダメージがある場合も
なぜ誤ったハツリが無くならないのか?解体工事と補修・改修の違いに注目
コンクリートに亀裂が生じるような誤ったハツリが行われる理由の一つが、ハツリとレベルダウンの違いがわからないことにあると考えています。解体工事などのハツリにおいてはコンクリートの亀裂を気にする必要がない一方で、建物を使い続ける目的で行われるレベルダウンは、十分に気を付けないといけないという違いがあります。
しかし、「ハツリ作業だから」という理由で解体工事を得意とする会社にレベルダウンのハツリを発注し、ガリガリと削ってしまいトラブルが起きる場合があります。
特に、建物の構造上重要な部分とされる躯体に亀裂が入ると大問題です。耐用年数の見積もりが著しく損なわれるため、不動産価値が落ちてしまいます。そのため、レベルダウンを目的にハツリが必要な場合、コンクリート補修を行っているコンクリート工事会社に依頼することをおすすめします。
ハツリによる亀裂を防ぐには?工夫次第で1mm単位の調整が可能!
ハツリによる亀裂を防ぐために冒頭にも述べてありますが「グルービングカッター」で溝をつけてからはつり作業を行います。グルービングカッターで事前にハツリの深さまでカッターを入れます。はつりたい箇所にカッターで溝を付けた後にはつることで、溝に斫り時の衝撃が吸収され健全層が傷つく可能性を軽減できるのです。
▲グルービングカッターで入れた切れ目
この工夫のもう1つのメリットが、ハツリの微調整ができる点にあります。フロアエージェントでは、研磨機を使用して1mm単位の床レベルを調整することが可能です。
例えば、鉄筋を覆うコンクリートの厚みである「かぶり」が、10mm薄くなると、耐用年数が10年落ちると言われています。そのため、削り厚みも重要工程と考え丁寧に1mm単位で落とすことも可能です。
以上のことから建物を長く使い続ける目的で補修・改修を行うお客様から弊社のレベルダウンがご好評を頂いています。
▲チッパーによるハツリの様子
▲部分研磨を行っている様子
物流倉庫の次世代化がハツリの活躍シーンを広げている?不陸調整がAGV導入の前提
レベルダウンを目的とするハツリは注意が必要な作業であることをお伝えしました。近年では、コンクリート表層の凹凸を除去する「不陸調整」が目的のハツリが無人搬送車(AGV)が走行する物流倉庫で求められていることからフロアエージェントの「亀裂が生じないレベルダウン」が活躍するシーンが増えています。
AGVは小さなタイヤで走行するため、経年劣化でコンクリート表層に生じる10mmから50mmの段差が障害物になってしまいます。この微妙な不陸を除去するためのハツリに、1mm単位で調整が可能なフロアエージェントのノウハウが役立っています。
建物を長く使い続ける目的で行う補修・改修で、耐用年数を損ねてしまうと本末転倒です。安全なハツリを行うことのできる会社をお探しであれば、フロアエージェントにご相談ください。
https://www.fa-concrete.com/leveldown.html