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1.はじめに

コンクリート床仕上げの難易度と言えば、いかなる打設状況においても平坦に均し、平滑に仕上げる。これに尽きるわけであるが、JASS5の床許容範囲で3m以内±7㎜以下とされている(写真1)。

写真1
JASS5による床レベル許容範囲は3m以内±7mm以下とされている 

定規擦りや不陸修正、色ムラのない金鏝仕上げ、コンクリートの硬さの有無など用途や現場状況により難易度は様々だが、これらは職人の技能によりこれまで精度は守られてきた(写真2)。

だがご承知の通り昨今の職人不足は深刻で、この難易度の精度を維持できる職人が激減しており、単に作業員の数を集めれば済む問題ではなく、床精度を維持向上し、継続して施工し続けられる職人が減少しているというものである。

この問題がさらに進むとJASS5の床許容範囲3m以内±7㎜の床精度を確保することも難しくなり、日本の床精度の信憑性にも大きな影響を与えかねない。

写真2
従来、職人の技能により床コンクリートのレベル精度は守られてきた

2.レベラーによる素地仕上げの台頭

そこで昨今の動向として素地仕上げにおけるレベラーの活用による床施工が期待されている。特に地方の職人不足は顕著で、土間仕上げを行う施工者が不足しており、素地仕上げを中心とした床施工からレベラー施工が採用されるケースが増加傾向にある(写真3)。

写真3
レベラー施工による素地仕上げが増加

やり方としては、まず躯体のコンクリート厚みは設計通り確保し、鉄筋やかぶり厚においても従来通りの設計とし、床表層の10㎜~15㎜程度を仕上げ材として高耐久レベラーを施工するというものである。

特に倉庫や工場などのAGV(自動搬送車)の走行する場所(写真4)などでは、素地の仕上げにおいてレベル精度3m以内±3~5㎜と許容範囲が以前よりも精密化されていることもあることからセルフレベリングの自己流動作用を利用し、よりレベル精度を上げる施策を行うと同時に、素地仕上げとして使用可能な高耐久レベラーを採用して進められている。

素地仕上げの床として50N/㎟以上の圧縮強度発現が得られ、表面強化剤と併用するとさらに強度および硬度が増すことからフォークリフト走行やAGV走行における倉庫や工場においても今後この手の手法が多く採用されることも考えられる(写真5)。

写真4
AGV走行対応床は更なるレベル精度が求められる
写真5
高耐久レベリング材を使用することで重車両往来する倉庫床でも素地仕上可能

3.おわりに

もともとはレベル精度向上を目的として高耐久レベラーが採用されていたが、昨今では人手不足の観点から採用されるケースが増加している(写真6)。
また塗り床のVE案としても高耐久レベラーが採用されることもあり、素地仕上げとして使用されるレベラー需要は今後も増加するものと思われる。

写真6
レベラー工事は品質向上と残業問題解決の一手となり得る