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物流倉庫コンクリート床の品質と機能向上を実現する床仕上げ工法


1.はじめに

物流施設は近年、Eコマースの促進や時短配送による労働問題など物流の課題解決に向ける動きから建設が増加している。当社では物流施設全体のコンクリート床仕上げから表面強化材、引き渡し前の最終洗浄を担い、引き渡し後においても定期補修から洗浄メンテナンスに至るまで日々倉庫の課題と向き合っている。今回は物流施設の要となるコンクリート床仕上げをこれから新設で計画または施工する前に知っておきたい重要なポイントについて解説する。

昨今、物流施設のコンクリート床仕上げは自動化(写真1)に伴う㎜単位のシビアな床精度が求められており、ひび割れ抑制が充分に施された床はもちろんのこと、より平坦、平滑な床、色ムラのない床、照明が映り込んだ際に、さざなみ状の不陸がない床など(写真2)、ユーザーの求める要求性能は以前の倉庫建設では比較にならないほど精度が求められている。ここではそのような物流倉庫の新設時における品質と機能向上の実現に向けたコンクリート床仕上げ工法を紹介する。

写真1 自動化対応床
写真2 ユーザーの要求品質を兼ね備えた床

2.床レベル精度について

では、実際の現場で施主の要求をどのように構築するかである。新設で土間コンクリートを施工する際具体的に床面のレベルを数値で示すとJASS5にある3m以内±7㎜以下の床レベルが一つの目安となる。ただしアングルの歪みや柱周り、壁際、打ち継ぎなどを含め多少のイレギュラーを想定し95%以上を必達とし、3m以内±5㎜以下を80%以上、さらに3m以内±3㎜以下を70%以上とし、それらを全体の打設面積において達成することが望ましい(写真3)。

写真3 mm単位の床レベル精度が求められる

その具体策として弊社ではコンクリート均しの自動化を推奨している。

写真4のような従来工法では従来では技能工の良し悪しでレベル精度が左右され、小面積においては問題ないが、大面積コンクリート打設になると技能工不足や雨天後の手配の混み具合などの影響で技能工が安定して常駐することが難しいケースがあり、床精度の安定的な確保が難しいと言える。

写真4 従来のコンクリート床均し

そこで自動コンクリート均し機械(写真5)を採用されることを推奨する。

写真5 自動コンクリート均し機械(レーザースクリード)

最も技能が要されるコンクリート均しだが、機械の導入により操作方法のみ講習すれば誰が均しを行っても均一な床レベルが確保されるメリットがある。
世界に目を向けると、これら自動コンクリート均し機械は物流倉庫のコンクリート打設におけるほとんどの現場で採用されており、日本は大きく遅れをとっていると言える。そこで当社は自動コンクリート均し機械を日本市場においても使用が容易になるよう自社開発した(写真6)。

外国製に比べコンパクトで持ち運びも容易になりエンジン式ではなくリチウムイオンバッテリーを採用し環境問題にも取り組んでいる。
この自動コンクリート均し機械を2023年より実際の物流倉庫現場にて導入している。

写真6 自動コンクリート均し機械(リバイブロボ)

3.具体的なひび割れ抑制

次にひび割れ抑制について具体的な方策として再振動締め固めを行うことを推奨している。
再振動締め固めというと単にエンジン式タンパーや押し型のタンピング器具を使用して施工することを考えがちであるが、弊社で推奨しているのは均し後のブリーディングの直後に再振動締め固めを行うことである(写真7)。

写真7 ブリーディング直後に再振動締め固めを行う

具体的な目安は打設直後のコンクリート床面にブリーディング管(写真8)を差し込み、ブリーディング管の中の水浮きが40%~60%の時点で再振動締め固めを行うということである。
目安ではあるがこのタイミングによってブリーディングで生じる水ミチや不要なエアを除去してコンクリート内部から生じるひび割れの根本原因を限りなく取り除くことができる。

写真8 再振動締め固めを行う目安として利用されるブリーディング管

これらの水ミチやエアが竣工後数年で摩耗や衝撃など使用頻度によるが、表面のひび割れが早期に発展する原因にもなることから(写真9)、内部から発生するひび割れ抑制は打設時のブリーディング直後に再振動締め固めを実施することを推奨している。
弊社はその再振動締め固めのタイミングに対し特許を取得しているほど重要な締め固めのタイミングであると考えている。

写真9 表面のひび割れが早期に発展した床

またブリーディング直後に再振動を与えると写真10のように目視でもわかるほど大量のエアを確認することができる。

写真10 再振動締固めでエア出しされた床

4.平坦かつ平滑な床面構築のための方策

次にユーザーの要求において昨今シビアに考えられているのが床の平坦性および平滑性である。冒頭の床レベル精度はあくまで点のレベルでありこれだけでは平滑な床とは言えない。仮に3m以内±5㎜であってもその付近に微細な不陸があれば平滑な床面とは言えないということである。

では具体的に新設時にどのような工程を施せば平滑性を確 保できるのかについて解説する。弊社にて推奨している平坦かつ平滑になる重要工程として騎乗式トロウェルの円盤掛けである(写真11)。この円盤掛け作業は最終仕上げで使用するのではなく、コンクリート打設後のアミゲタが乗れる頃合いにおいて始動する。

写真11 騎乗式トロウェル円盤掛け

騎乗式トロウェルの重量を活かし、2枚の円盤状の鉄板を縦方向、横方向、斜め方向に回転させ擦り合わせを施し、不陸修正を行うことで微細な不陸やさざなみ状の不陸を修正する(写真12)。また打設後のコンクリートの収縮により生じるレベル誤差も騎乗式トロウェル円盤掛けにて改善が図れることから重要な工程として推奨している。この工程無くして平坦および平滑な床面の構築は難しいと言える。

写真12 円盤を擦り合わせ不陸修正を行う

ところが多くの現場で騎乗式トロウェル自体を禁止している企業がある。その理由は最終仕上げにおいて重量のある仕上げ機械を回転させると剥がれのリスクがあるということである。
屋外の風の強い場所や直射日があたる場所においては最終仕上げにおいてトロウェルを回転させると剥がれのリスクは大きくなると言える。
生コンプラントにおいて事前に材料の特徴を把握せずに施工するとこのような事象は起こると考えられる。
しかし、試験施工で事前の材料の把握および、仕上がりを予め確認することで本施工でのリスクの軽減につながる(写真13)。
騎乗式トロウェルは使用上の留意点を理解して使用すれば品質の向上となり、不具合なく床施工が可能である。

写真13 試験施工の様子
写真14 レベル制度および平坦性、平滑性が構築された床

5.おわりに

本稿では紙面の都合により端的にしか触れられていない点が多く、他にも重要工程を省略している部分があることをご容赦願いたい。
詳しくは当社ホームページなどを参照いただき、わからない点は当社にお問い合わせ願いたい。また各々の現場において物流倉庫の床レベル精度の向上と平坦、平滑な床面(写真14)が構築されることを切に願う。

我々は実際に現場で手を動かす施工者であるが、管理や監督者がその重要な作業工程を理解して工事計画や打設順序等を計画し現場で実施されると、物流施設床面の品質向上や顧客満足に直結すると考える。
今後の物流施設はこれまで以上に精度の求められる時代だからこそ管理者と施工者が理解を深め共に施工を共有することが求められる。弊社はこれからも全ての現場においてあらゆる提案を施し、実際に現場で手を動かす施工者として今後の物流施設を支えていきたいと考えている。