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「月刊建築仕上技術」誌に弊社工法が掲載されました(2019/04 VOL.44 NO.525)
先端技術を駆使したコンクリート床工法耐久性、美観性向上と高いレベル精度を実現
株式会社フロアエージェント 代表取締役 又吉 雄二雑誌発行元 株式会社工文社 http://www.ko-bunsha.com/
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- 1.はじめに
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昨今、倉庫需要が続いている背景として、物販の決済と流通がインターネットを通して行われるEC市場がますます加速して伸びていることが挙げられる。その流れから今後、倉庫内に自走床ロボット(写真1)を導入する企業が増えていくことが予想される。各ロボットメーカーは、自走式床ロボットの耐用年数を維持するための推奨床精度を±3mm以下且つ平滑な表面としており、そのため倉庫におけるコンクリート床レベルは、さらに精度向上を求められることになろう。
そこで当社では、新設時のコンクリート床施工においてひび割れ抑制と耐久性向上、そして美観に優れた鏡面仕上げを行い、その数日後に微細な不陸を除去して床レベルの均一化を図るレベル調整工事を施し、床レベルを±3mm以下とする工法を開発した。写真1 自走床ロボット
- 2. LCS工法(ロジスティクス コンクリート フィニッシング システム)+不陸調整法
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①均し作業(写真2)
はじめに、自動床均し機械による振動タンピングと自動レベル測定による均一で安定したコンクリート均しを行い、平面タンパーによる初期振動を与え、コンクリート中の硬化組織を密実にする。
写真2 均し作業
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②再振動(写真3)
次に、ブリーディングが起きた時点でさらに再振動を加える。これにより、ブリーディングによる水ミチや空隙を除去することができる。ひび割れ抑制効果が高く、初期振動とセットで行うことがより望ましいと考える。
写真3 再振動
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③表面加圧・円盤掛け(写真4)
再振動を行った後、より重量のある騎乗式機械を使用し円盤掛けを行い、表面加圧を行う。床レベルの均一化を図るための不陸調整を同時に行えることからも、この騎乗式機械による作業が重要な鍵となる。円盤掛けは、仕上がる直前まで実に3回~5回の往復を続ける。倉庫ユーザーの要求品質を満足させるには、特にレベル精度、耐久性、美観の3つを向上させることが重要であり、これらのプロセスは必須となる。
写真4 表面加圧・円盤掛け
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④表面仕上げ(写真5)
コンクリート表面仕上げは重量の軽い機械を使用するが、当社ではコンビネーションブレードというブレードを装着して床仕上げを行う。従来のブレードは羽の心棒が中心にあるため、床への負担がブレードにかかりすぎ、仕上げの際ブレード跡(羽跡)が強く残ってしまい、回転を重ねるとブレード跡のマダラ模様が目立ち、焼きつけした黒光りなど美観を損ねる危険性があった。このコンビネーションブレードは羽の心棒がより外側に偏っているため、床への負担が軽くブレード跡が出にくい仕上げができる。床仕上げの際はコンビネーションブレードを使用することを推奨する。
写真5 表面仕上げ(右上:コンビネーションブレード)
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⑤レベル調整(写真6)
数日後、床全体に対し縦方向、横方向300mmピッチにおいて、レベル測定を細かく出し、±3mmを超えているものは極力削り作業のみでレベル調整を行う。昨今の材料の進化により塗り付け補修も可能だが、剥がれや色別れのリスクも考えられるため、極力塗り付けない削り作業により行うことが望ましい。また微細な歪みなどある場合は助作業を行う。特に不陸の出やすい箇所として、柱周り、打継のアングル回り、壁際から600mm以内の部位などが挙げられる。これらは機械が入りにくく、技能の差が出やすい箇所であることから、留意が必要となる。
写真6 レベル調整
- 3.おわりに
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今回の技術提案は、コンクリートの中身を改善し、ひび割れ抑制、耐久性向上、レベル精度の均一化、そして微細な不陸を除去する切削工法と多岐に亘る。この一連の工事はこれまで分業で行うことが多く、土間仕上げは土間工、補修は左官工、研磨は研磨工とそれぞれの専門分野が担う一方で、床仕上げの要求品質が共有されていない実績がある。
床下地において表面仕上げのグレードも数種類ある中で、±3mm以下の床精度で仕上げが要求された場合、土間仕上げにおいては、均しの際の床レベル確認の徹底と円盤掛けによる不陸調整が必須になる。その工程を怠ると不陸が多くなり、切削することが困難になるのである。そして費用と時間が余計にかかることになる為、コスト的にもデメリットが大きい。従って床施工においては、コンクリート仕上げから切削工事のレベル調整までワンストップで行える体制が望ましいあり方と言える。
今後、床施工業界がワンストップ施工にシフトして行くことが、日本の床施工技術の底上げになると確信する。