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「月刊建築仕上技術」誌に弊社工法が掲載されました(2022/04 VOL.47 No.561)
物流施設施工計画への導入が進む
新たな床施工技術
無人均しロボットと電解水ポリッシュド洗浄株式会社フロアエージェント 代表取締役 又吉 雄二雑誌発行元 株式会社工文社 http://www.ko-bunsha.com/
- 1.はじめに
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当社は床コンクリートの施工会社であり、日々、新設・改修ともに数多くの工事を手掛けている。本稿では、それらの経験から得た知見に基づき当社で開発した、主として物流施設床に関する新たな施工技術、無人コンクリート均しロボット「リバイブロボ」および、強アルカリ電解水による床洗浄について紹介する。
写真1 リバイブロボ
- 2.無人コンクリート均しロボットで変わるひび割れ抑制対策と締固めの本質
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当社は昨年2021年6月に無人コンクリート均しロボット「リバイブロボ」(写真1)を開発、リリースした。
リバイブロボはボタン一つでコンクリートの締固めとトンボ均しが行える均し機械で、その導入により、特に大面積コンクリート施工において締固め作業とトンボ均しを無人にて行うことが可能となった。写真2 ひび割れ
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当社ではかねてより、コンクリート工事において最も重要工程と言われる「締固め」作業を定量的かつ効率的に行い、ひび割れ(写真2)や剥がれなどの抑制、コンクリート中の気泡や空隙(写真3)を除去すると同時に、これまで熟練工が行ってきた「トンボ均し」工程を同一の再現性をもって機械的に均せる装置が、床面全体のレベル精度や耐久性能の品質的観点から重要だと考えていた。それらを実現するものとして開発されたのが、リバイブロボである。
写真3 コンクリート中の気泡や空隙
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従来工法では、熟練工の良し悪しで建物全体の床面のレベル精度や締固め工程にバラつきがある。小面積の床施工であれば熟練工の手作業は優れているが、物流施設など数万㎡単位の面積の施工であれば、全体面積の品質を安定および向上させるためには機械的かつ定量的な施工が望ましい。
【締固めの効果と従来型のタンパーとの違い】
従来型タンパー(写真4)の課題として挙げられるのが、ボード全体の振動数値にバラつきがあることだ。これは振動が起こり始めてからボード内にレベリング流動が起きた時の表面の材料配置にも影響があり、レベルの平坦性を確保するという観点から、タンピングボードを全体の振動数値を同一にする必要があった。写真4 従来型タンパーによる再振動締固め
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リバイブロボは、従来行われてきたエンジン式タンパーに比べ約3倍の締固め加速度にて作業を行えるだけでなく、タンピングボード全体の振動数値を同一にすることで、振動によるレベリング流動によって表面に行き渡る材料配置が均一になり、平坦性を構築することが可能となった(写真5)。
これにより例えばボードの左右端部で床面委3mm~4mmのレベル誤差があった場合でも、リバイブロボが振動すると同一の振動によって表面張力の作用でレベル誤差が改善されることから、フレッシュコンクリートを均す際の「締固め」および「均し」の重要工程がさらにグレードアップされる。写真5 リバイブロボによる再振動締固め
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また環境対策として、リバイブロボは世界初となるリチウムイオンバッテリー搭載による電池式タンパーであり、これまで世界中に存在するエンジン式タンパーに先駆けてコンクリート均しをEV化することで排気ガスをゼロにし、これから訪れる脱炭素社会に向けた建設業の低炭素化や脱炭素化の取り組みに貢献する。
また排気ガスのゼロ化は、冷凍冷蔵倉庫などの閉め切った場所のコンクリート打設や、一酸化炭素中毒のリスクのある場所における安全対策としても有効なことから、現在あらゆる用途において施工依頼、施工計画の検討に挙げられている。写真6 タイヤ痕、もらいサビ、オイル染み
- 3.タイヤ痕、油汚れを落とす強アルカリ電解水洗浄
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物流施設や工場には写真6のようにタイヤ痕、もらいサビ、油汚れなどの汚れがある。一見すると同じ洗剤や洗浄機で洗えば落ちると思われがちだが、実は汚れの落とし方や使用する洗浄液によって大きく違いがある。
写真7 騎乗式トロウェルによる大面積床面ポリッシュドコンクリート
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当社は物流施設や工場において、大面積の床面に対し短時間で強力な効果を得られる洗浄方法を追求してきた。強力に付着したタイヤ痕やサビの除去を行い、使用する洗浄液や汚れ落としの際に使用する機械や装着するブラシおよびアタッチメントを制作して、短時間で的確かつ効率的に汚れ落としを実施してきた(写真7,8)。
また洗浄液においても、汚れの種類によって酸性とアルカリ性で分かれており、洗浄液の適切な選定も強力な効果を得る要素として必須となる。写真8 汚れを見てアタッチメントを選定
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当社ではとくに強アルカリ電解水に着目し、独自にアルカリ電解水を生成するに至った(写真9)。これは、これまでコンクリート洗浄に携わり築いてきた様々なノウハウをもとに、アルカリ電解水がいかにコンクリートとの相性や強力洗浄に優れているかを多様な洗浄液との比較から判断した結果である。
アルカリ電解水が通常の洗剤と違う点は、基本は自ら生成されるものなので洗浄後の水拭きも不要になるほどコンクリートの床面に無害で、かつその洗浄効果はタイヤ痕や油汚れを強力に落とせるPH18~12.5までと広く濃度を調整して洗浄可能なので、洗浄のパフォーマンスを最大限まで発揮できることにある。写真9 自社にてアルカリ電解水を生成
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通常の水拭き洗浄でタイヤ痕消しや強力洗浄を行う場合は1日1000㎡程度が限度であったのが、アルカリ電解水洗浄を行うと床面の程度にもよるが2000㎡~5000㎡の効力洗浄が可能になる。特に物流施設や大型工場の大面積コンクリート床面において、アルカリ電解水洗浄を推奨している。もちろんコンクリート床面の汚れの種類によっては酸性を使用する場合もあるが、基本的には、物流施設においてコンクリート床面の洗浄アルカリ電解水を使用して行うことを推奨する。
以下、洗浄について述べてきたが、物流施設において高品質と効率を生むコンクリート洗浄方法として、当社では「洗浄機械」「洗浄ブラシ、アタッチメント」「洗浄水」の3つの要素が重要と考えている。これらが加わることでこれまで以上の洗浄効果を実際の現場で得られることになる。写真10 洗浄後の仕上がり画像
- 4.これからの物流倉庫コンクリート床仕上げに欠かせない会社になるために
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冒頭に述べたリバイブロボは当社におけるDX化の一環として、均し機能および締固め機能に加え、作業を行うと同時にAIを使ったレベル計測機能を設け、施工中にも管理者がその場でレベル精度を確認できる仕様にアップデートをしていく。物流施設や工場において今後定量化された施工を検討する際には、リバイブロボを採用いただき、耐久性向上および効率化の一助として役立てていただきたいと考えている。
また、電解水ポリッシュド洗浄については、昨年大型案件で30万㎡以上の床洗浄を行った際も通常工期の半分以下の期間で、予想以上の美観で引き渡せたと担当者からのお声をいただいた。物流施設においては、今後必要不可欠な美装メンテナンスとして、当社としても今後さらに洗浄効果を追求していく所存である。
どんな商品でも工法でも、開発がゴールではなく、顧客の課題に向き合い実用化していくことが施工店としての役割であると考え、現場への落とし込みおよび品質向上と生産性を上げることに尽力していきたい。