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「近代建築」誌に弊社工法が掲載されました(令和6年02月14日発行)
物流倉庫の価値は床の精度で決まる
株式会社フロアエージェント 代表取締役 又吉 雄二
- 1.価値ある倉庫は床作りから始まる
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「価値ある倉庫」とは、お客様の賃借や売買がスムーズかつ継続的に行えて、収益性、資産性の高い倉庫である。賃借や売買の意思決定を加速させる価値がある倉庫であり、その決め手となるのが床の精度であると考える。未来の倉庫はAGV(自動搬送車)や自動フォークリフトなどのオートメーション化が必須であり、そのための床の精度要求は年々向上している。JIS規格の床レベル許容範囲では3m以内±7㎜以下であるのに対し、3m以内±5㎜以下、または±3㎜以下を求められる現場も多く、益々床精度の求められる時代になるだろう。問題は、精度を上げる施工法は以前から変わらず手作業によるものだということだ。今後のさらなる技能工不足や労働時間問題が頻発する状況下においては、上記の精度要求に対し現実的な解決を図る施工法が必要である。そこで、価値ある倉庫作りを継続するために当社で開発した床精度を上げる具体的な施工の重要ポイントを3つ紹介する。
- ▲倉庫の価値は床の精度で決まる
- ▲オートメーション化が進む物流倉庫施設
- 2.倉庫の床精度を上げる実践的な施工法 (3工程を実施して床精度を上げる)
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①の自動均し機械(レーザースクリード)を導入して再現性の高い床均しを全面に行い、表面のレベルチェックと同時に生コンの量を定量化することで、技能の良し悪しに関係なく床精度を安定させることが可能になる。また初期振動としての締固めも担い、バイブと併用して密実なコンクリート均しを実現する。
①平坦性の向上=自動均し機械によるコンクリート量の定量化 ※写真①
写真① レーザースクリードによる自動均し
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②のひび割れ抑制は、バイブレーターとレーザースクリードの締固めの後にさらに再振動タンパーにて締固めを施し、床面の表層付近に残った空隙を除去することで隙間のない強固な床表層を作る。
②ひび割れ抑制=再振動締め固めの適正な実施 ※写真②
写真② 電動タンパーによる再振動締固め
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③の平滑性の向上では、騎乗式トロウェルによる円盤掛けを行い、面精度を上げて滑らかな床面を作る。微細な段差や不陸を修正する最も重要な工程とも言えるため、倉庫床の施工においては欠かせない工程だ。そのほかにも床の剥がれや膨れ、初期クラックなどの防止としての不具合への対策を講じる必要があり、配合計画の提案や現地の生コンの品質を確認するためのモックアップなどのテストの施工、仕上がりの確認などを経て本施工を実施する。
③平滑性の向上=面精度を上げるための不陸修正 ※写真③
写真③ 騎乗式トロウェルによる不陸修正
- 本施工前のモックアップの様子(レーザースクリード初期振動均し)
- 精度を上げるための機械化の導入が必要
自動床均しロボットリバイブロボ
高性能EVタンパー
リバイブスクリード
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上記で紹介した3つの工程は、当社が手作業の施工と機械化施工の双方を担うなかで施工の改善を重ねてたどり着いた、最も床精度を向上させる施工法として推奨している。今後の倉庫床施工のスタンダードになると予想しているため、倉庫を計画する際はぜひ参考にしていただきたい。これまで研鑽されてきた手作業による精度の高い施工は、日本が誇る職人の技術として今後も継承されるべきものである。一方で次世代の倉庫床では、大面積の打設であるがゆえに、レーザースクリード施工などの自動化による精度向上を確立することが現実的な施工法となる。これは未来の倉庫床をより進化させるステップになると確信している。レーザースクリード施工は日本以外の先進諸国では圧倒的に採用され続けており、機械の販売台数も日本以外では年々増加している。また昨今の技能工不足を考えると、この先、手作業の施工のみを望むのは非現実的であり、世界の床施工技術の観点から見ても、倉庫の精度向上を継続的に達成するためには施工の自動化は欠かせない取り組みと言える。当社は単に海外製の機械や工法を真似するのではなく、床精度を向上させるための世界に負けない床施工技術を日本から確立するため、機械の開発にも着手している。当社から生まれた機械には、リバイブロボ、高性能EVタンパー、リバイブスクリードなどがある。(写真下3点)
床精度の向上や省人化、脱炭素社会の実現における次世代の持続可能な開発を行い、これら機械のリース、レンタル、販売を含め、日本の床施工業界の発展と世界の倉庫床の精度向上に貢献したい。
- おわりに
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本稿で紹介したノウハウは、当社のみならず床施工業界の技術の発展のために広く推進するものであり、事業主をはじめ、元請け業、設計業、同業者の方々の施工の一助となれば幸いである。